上司に「辞めます」といってもなかなか取り合ってもらえない・・どうすればいいんだろう。
自分の決心はついて、会社を辞めようと会社に働きかける。たいていの場合は了承してくれますが、中には「認めない」と突っぱねられるケースもあります。
私は3回転職していますが、そのうち1つの会社で「半年間、引き留め」に合い退職できませんでした。
最終的には強引に退職しましたが、なんとか「円満退社」までこぎつけることができました。
辞めたいのに辞められない・・気持ちは固まっているはずなのに「ダメだ」というと揺らぐ気持ちがあったりしませんか。
「最終的にはバックレるのはあり?」
「どうすれば、円満に辞められる?」
なかなか前に進めず困っている方に、経験者からお話させていただきたいと思います。
1.法律を振りかざすのは止めよう
ネットで調べていると「法律上は~」「労働基準監督署に~」「辞める権利がある」などという情報があります。
たしかに正論なのですが、正論を振りかざして会社と交渉しても、こじれるだけです。
会社組織対個人とはいえ、最終的には「人と人とのやりとり」なのです。そこに理屈や法律で守られていると権利を主張してしまうと、会社側の気分を害してしまいます。
いわば「訴えてやる」というのに近い「脅し」のようなもので、交渉の場でそんなことを振りかざすと企業側をこじらせてしまいます。
「この会社を辞めるから、後のことはどうでもいい」と考えるのは待ってください。
私も以前退職をこじらせて、前の会社から「あることないこと」を言いふらされた経験があります。
2.強引に辞めると、何が問題?
極端な話、強引にやめようと思えば簡単に辞められます。
・退職希望日の2週間前に、退職届を内容証明郵便で会社宛てに送る
・会社をそのままサボる
で法的には問題ありません。
さすがに子供ではないので、そこまで実行することはためらうと思います。ただ、会社の合意を得ずに一方的に辞めてしまうと、あなたも困ります。
次の会社で就職する時に必要な書類が、無視される恐れがあるからです。
・雇用保険被保険者証
・年金手帳(会社保管の場合)
さすがにこのあたりは会社でも後日郵送されてくるかもしれません。「もともとあなたのもの」なので、あなたに返す義務があるからです。
しかし、、
・離職票(失業保険の手続きに必要)
・健康保険資格喪失証明書(健康保険の切り替えで必要)
・源泉徴収票(新しい会社での年末調整で必要)
このあたりの書類は「あなたのために発行する書類」ですので「知らん!」と突っぱねられても仕方がないのです。
今の会社を辞めてハローワークに失業給付を申請する場合にせよ、次の会社で働くにせよ「必要な書類」を発行してもらえない恐れがあるのです。
法律をかざしてあれこれゴネたり、バックレるような形で会社を辞めると、こうしたリスクがあるということを覚えておいてください。
できる限り「円満退社」ができるように、最大限の努力をすべきなのです。
3.引き留めの言葉や脅しに、どう答えればいい?
●うちの会社には、おまえが必要なんだ
●そんな無責任な人間、他の会社で勤まると思う?
●人が足りてないので、しばらく待ってほしい
●問題があれば、改善する
●辛いのはどこも一緒だ、だから頑張れ。なっ?
いろいろな「引き留め」「脅しに近い言葉」を上司や社長から、投げかけられて心折れた方もいるかもしれません。私もそうでした。
また退職を持ち掛けても、いろいろ言われてしまい結局丸め込まれてしまう・・
どう対処すれば、よいのでしょうか?
まともに応酬しないことが大事
何を言われても、『退職します』とだけ答えて、余計なことは一切言わないことです。何を問いかけられても、辞めます以外はずっと下を向いて沈黙しましょう。
「気まずさに耐えきれない・・」というかもしれませんが、こちらは「退職の強い意思」を認めてもらうしかないのです。相手に理解してもらおう、納得してもらおうなんてことはいりません。
退職を、認めてもらうこと。それ以外は切り捨てましょう。
「あなたじゃなきゃダメ」ということはない
よほど特殊な技能をもっていたり、企業経営をしているのでなければ「この人でないとダメ」なんてことはありえないのです。
会社の本音は、一から教育したり育てるのが「大変(めんどくさい)」のです。
あなたに人間的魅力があって言っているかもしれませんが、「あなたがいないと会社が回らない」ほどの存在ではないということなのです。少しきつい言い方になってしまいすみません。
少なくともそう考えれば、会社に変な情を残さずに、引継ぎなど最低限の責任を果たして心置きなく次の会社に移ればいいのです。
人手が足りないのは、会社の問題
「私がいないと、人が足りなくて困ってしまうのでは」と心配になり、心を鬼にできないかもしれません。
ですが、人手不足はあくまで「会社の問題」です。そこは割り切らないと、いつまでたってもあなたが次の一歩を踏み出すことができないのです。
ただ、スパッと割り切れるものでもないと思いますので、「最低限の責任を果たす」ことは大事化もしれません。
新しい人を入れてもらって、引き継ぎをしっかりする旨を会社側にしっかり伝えましょう。
この時に必ず「具体的な日時を決めること」をおすすめします。
・いつまでに、新しい人を入れてくれるのか
もしくは
・●月までに辞めます。その期間までなら引継ぎが可能です
と伝えるようにしましょう。
4.引き留められる場合の対処法3ステップ
会社からいろいろな引き留め文句があっても、まともに相手にしないことです。
具体的に、どういう形で再度交渉して、退職にこぎつければよいのでしょうか。私の経験を踏まえて、3つのステップをまとめてみました。
~引き留められた時の、3ステップ~
ステップ1:時間を空けて、何回も交渉する
ステップ2:退職届を”出さざるを得ない”状況を作る
ステップ3:強硬手段に出る
基本的には「ステップ1」を推奨します。それで「どうにもならない」場合のみ、次のステップに行くことをオススメします。
ステップ1:時間を空けて、何回も交渉する
すでに一度交渉して、断られていることを前提でお話します。
退職の意思を告げてから、”2週間おき”に退職届を持参して、上司に退職の意思を伝えましょう。
「考え直してみたのですが、やはり気持ちは変わりません。退職します」といって、退職届を渡すのです。
・具体的な理由は言わない。沈黙を恐れない。下手に理由をいうと、説得されたときに”辞める理由がなくなる”ため
・引継ぎの人をいつ入れるのかのみ、話に応じる
・通常は「退職願」を出すが、今回は撤回できない「退職届」を作って持っていく
・退職前提で話をする。「いつなら後任の人を入れてもらえますか?」「いつまで出社すればいいですか?」
■どうしてもダメなら、再度交渉する
上司が「分かった」というまで、ずっと我慢です。ただそれでも、了承もせず退職届もまったく受け取ってくれない場合。
「わかりました、少し保留にさせてください」とだけいって、解散しましょう。
退職する意思は絶対に崩してはいけません。とりあえず保留とするのです。
そして2週間後、まったく同じように上司に話をする席をもうけてもらいましょう。この繰り返しをしていきます。
相手が折れるまで粘り強くやっていくのがセオリーです。
ステップ2:退職届を”出さざるを得ない”状況を作る
いくら交渉しても、全然会社側が認めてくれない場合。
基本的におすすめはできない方法です。あくまで、ステップ1で頑張って、「これ以上、どうしようもない場合」にのみ考えてみてください。
「軽い問題」を起こして、「退職届」を出さざるを得ない状況を作ること
ちょっと過激な提案かもしれませんが、何も法に触れるようなことをしましょうというわけではありません。
・夕方くらいに、突然会社からバックレて、翌日出社
・机の上のものを、ぶちまけてみる
など、上司から個室に呼ばれるような状況を作るのです。その際に当然お叱りをうけますが、そのタイミングで「退職届」を出すのです。
会社側も、こちら側がかなり追い詰められているのを知りますし「これ以上会社に居られて問題を起こされては困る」という意識になるはずです。
何度もいいますが、あまりおすすめはできませんが、、
ステップ3:強硬手段に出る
どうしても辞めさせてくれない。もう手詰まり。と思った場合は、冒頭でもお話しした強硬手段に出るしかありません。
・退職希望日の2週間前に、退職届を内容証明郵便で会社宛てに送る
・会社をそのままサボる
という方法をせざるを得ません。ただ、次の会社での手続き、失業手当などの書類を会社側で用意してくれるかどうかはわかりません。
事前に、そういった書類がなくても手続きを受けられるのか確認しておくとよいかもしれません。
5.「強引に円満退職」した管理人の体験談
私はアラフォーの男ですが、これまでに転職は3回しました。
転職した際の1回、強い引き留めに会い半年間退職できませんでした。その時の経験をお話しします。
上司は通過、社長が認めてくれない
中小企業で経理の仕事をしていましたが、あまりの仕事量の多さ。そして「休みなく働くのが当たり前」という上司の下で働くのことにウンザリした私は、退職を決意しました。
辞表を用意して、「お話しがあるのですが・・」といい別室で退職の意を伝えました。
上司は意外にもすんなり受け入れてくれ、「あとは社長に報告する」といいました。
ところが・・
後日上司から呼び出し。「社長が認めないので、一度直接話し合って欲しい」とのこと。
失敗だった点:曖昧な態度をとってしまった
社長室に呼ばれて、どうして辞めるのかという理由を聞かれ答えました。
「仕事は我慢するのが当然だ。辛いのはあんただけじゃない。もっと頑張れ」。こんな内容を延々と1時間近く繰り返しで話されました。
ほら、早く辞表をしまいなさい
そんな簡単に次は見つからない。辞めておきなさい。
私も決意が固かったものの、いざ説得されると「必要とされているかも?」とうれしい気持ちがあったのは事実です。
そこで、少し退職をちゅうちょする様子を、相手が感じ取ったのかもしれません。
「う~ん」「いや~・・」という曖昧な言葉を使わず、毅然とした態度で「いえ、退職します」としっかり伝えるべきでした。
最終的には社長が「私はこれから会合があるから、とにかく辞表をしまって出ていってくれ」と言われ、素直に応じました。
・とにかく曖昧な様子を一切見せない
・話を一通り聞いてから、辞めますと何回も伝える
2回目の交渉も、不発
はじめはわたしも、「そこまで決意がないのかな?」と思い2ヶ月はそのまま働いてしまいました。
とくに上司からも「決心はついたか?」と促すことがなかったのも「なあなあ」になっていた原因だったと思います。
ただ「これじゃいけない」と思い、3ヶ月後に再び社長に直談判しにいきました。
今更?のような驚いた顔をされましたが、退職したい意志を伝えました。
失敗ポイント:時間を空けすぎると、向こうも「やる気になった」と勘違いする
結局、社長室で前回と同じような形の禅問答になり、気が弱い私は再び、曖昧な状態で終わってしまったのです。
トータル2回の交渉だったのですが、「もうこの社長を説得できない・・」とあきらめモードになってしまいました。
一度出した気持ちは、収まらない
このまま我慢するしかない・・と悶々としていましたが、私の気持ちが切れてしまいました。
いつも乗っている通勤電車。あろうことか反対側のホームに行き、会社とは逆方向に向かいはじめたのです。
この時の感覚も自分でよくわかっていません。「自然とそうなってしまった」ような感じでした。
当然会社からは5分おきに電話が来ます。ひたすら無視して、終点の駅で遠くの景色を見ながらボーッとしてました。
どうやら家族にも連絡がいったらしく、ラインで悲壮な内容のものが来て我に返る。
結局、その日は夜中に会社に行き、身辺整理をしてボロボロになった辞表だけ上司の机の上に置きました。
失敗ポイント:自分の本心を無視して、問題を先送りにしてもどこかでツケが出る
なんとか円満退社にこぎつけた
3日後、「このままだと社会人として終わっているよな」と思い、意を決して会社に訪問し、上司と社長にお詫びをしました。二人は責めもせず、退職を認めてくれました。
その後は、しっかり手続きをとってくれ、「引き継ぎもいいから」と有給消化してもらい、月末に退職しました。
最終的には、私のしたことで家族にも会社にも迷惑をかけてしまった・・と苦い後悔だけ残りました。
私みたいにならないように、しっかり意志をもって活動して下さいね。会社に迷惑をかけず、良い方向で円満退社ができることを願って。