「一生懸命働いているのに、どうして会社で評価されないんだろう・・」
「どうして要領よくふるまっている人間ばかり、美味しい思いをするのか」
まあ、たしかに気持ちはわかる。
会社のために毎日早起きして、毎日定時近くまで残業してるけど上司はさっさと帰るし自分のことを認めない。
まじめにやっているのがバカバカしくなる。そう感じるのが人間っていうもの
ただ。
会社にとっちゃ「真面目にやることでしかできない」人間だっていうこと。
民間企業は慈善事業ではないので、お金を生み出さないと成り立たない。
かけた時間の量ではなく、成果の量で評価されるのは当然のこと。
こんな偉そうなことを言ってるが、俺も会社員時代は営業や総務を経験して、ひたすら真面目にやってきた。
●営業では、お客さんからの対応を迅速に。
●総務では、社内外の対応にしっかり答える。
毎日誰よりも遅くまで会社に残っていた。それが社会人としての責任だと思っていた。
でも、そんな努力も誰も気にしていない。それどころか営業時代は2個下のチャラい後輩に先を越された。
総務の時は社内の人間から「ここを、もっとちゃんとやってよ」と文句ばかり言われた。
結局、仕事は「真面目にやるか」ではなくて「成果を残すか」なのだ。
「報われる」という発想を捨てること
世の中は「センスのある人間」「要領のいい人間」が勝つようになっている。
我々のような「冴えない凡人」にとっては、同じ職場というフィールドで戦うのがそもそも不利なのだ。
仮に上司に相談したとする。というか、俺も上司に相談してきた。
「もっと、こうすればいい」
具体的なアドバイスはもらえても、実際にその通りやって劇的に改善するかと言えば「NO」だ。
なぜなら、仕事の小手先のやり方は教えてもらえても、「仕事の抑えどころ」や「力の入れる場所」というのは感覚的なもので、口頭で伝わるものではないからだ。
「真面目にやっても報われないのは、努力の方向性が違うから」
我々のような凡人は「物事を俯瞰する力も、物事のポイントを抑える力」というのものが弱い。だからこそ、努力の方向性と言われてもピンとこない。
「センスのなさ」「地頭の悪さ」を、「時間をかけること」でカバーするしかないのだ。
カメはウサギにはなれない
童謡でよくある話に「ウサギとカメ」がある。
「ウサギは要領よく先に進めるが、結局コツコツやるカメに抜かされてしまう」というような趣旨だったと思う。
民間の会社では「ウサギはいつも勝者」だ。
ウサギにあこがれて要領よくこなそうとするのは危険だ。仕事の抑えどころや立ち振る舞いがわかっていないので、「仕事にやる気がない人間」と評価はダダ下がりだ。
我々は、バカバカしくても、理不尽であっても「カメ」で居続けなければならない。
会社は「真面目という取り柄」を最低限の担保にしてくれる。
「決して会社の利益に貢献はしないけど、ちゃんとやってくれるだけマシ」という評価で十分なのだ。
「会社にいさせてもらえるだけでありがたい」という”弱者としての謙虚さ”が必要だということ。
これは22歳から38歳まで民間の企業を転々としてきた俺が感じてきたことだ。
真面目にやって報われる人生を送るには
それでも「こんな理不尽な人生は、虚しいし嫌だ」と思うかもしれない。
内心薄々と気づいてはいても、人間である以上自尊心がある。だから受け入れがたいという気持ちはとても理解できる。
じゃあ、何か方法はないのか。
●戦うフィールドを変える
●思考を変える
●仕事外にクリエイティブを求める
という3つの選択肢がある。
1.戦うフィールドを変える
「民間企業で働く」というフィールドから、離れるというのも一つだ。
●公務員(そうでない所もある)や社団法人などに行く
●パートやアルバイト
ただ昔とは違い、公務員のサービス水準は上がり、地方存続のために創造的な取り組みを行う自治体も増えてきた。
「公務員=とりあえず働けばOK」という時代ではないのかもしれない。
また、年齢的な制限もある。
もしあなたが新卒であれば間に合うかもしれないが、おそらくほとんどの人は公務員はムリだろう。
社団法人といった「半民半官」のような組織に属するというのも一つだが、そもそもこうした組織はコネでもない限り入るのは極めて難しい。
では、「バリバリ成果を求めない民間企業」という選択肢はどうか。
法規制の恩恵を受ける業種であったり、市場自体が成熟化している中で独占的な利益をあげている企業などが該当するかもしれない。
たしかに可能性はゼロとは言えないが、「どうやって企業の内部事情を見極めるのか?」という話だ。
もし仮に転職できたとする。「真面目にやって報われる企業」かどうかは、入ってみないとわからないのだ。
「入ってみてダメなら、今度こそはあきらめがつく」というのも一つかもしれない。
ただ経験上、能力に自信のない人間が転職するのは極めてリスクがある。
他の会社から来るということは、それなりの能力を期待されているケースがほとんどだからである。
「転職=敗者復活戦」ではなく「転職=外部からの即戦力」なのだ。
期待値が上がるのに「真面目だけが取り柄」だと、風当たりは今の会社よりも強くなるかもしれない。
また、転職をすると多くの場合年収が下がる。積極的にキャリアアップを求めての転職ではないからだ。そうした金銭的なリスクの面も頭に入れておきたい。
時間単位で評価される仕事につく
もしあなたが「正社員」という肩書にこだわらないのであれば、時間でお金がもらえる仕事につけばいい。
パートやアルバイト、契約社員などにシフトチェンジするのだ。
仕事の多くは定型的なもので、かけた時間に対する成果を見出しやすい。
ただ、正社員の座を捨ててまでこだわるべきなのかは、疑問が残るかもしれない。
2.思考を変える
民間企業で働く以上、一部の人間のみが出世をしたり、要領よく世の中を渡っていく。
彼らは「別世界の人間」と、自分との切り離しをするのだ。
『社会人は理不尽なのが当たり前、「我慢代」が給料なのだ』という割り切りができると強い。
もしかするとあなたは「自己実現」「達成感」「やりがい」「成長」という言葉が”好き”かもしれない。
20代の俺は、こうした言葉が大好物だった。だた、そこを求めて良い人間と悪い人間がいるということも学んだ。
「自分は特別な人間だ」「自分は必ず成功するんだ」
もちろん、自己肯定感は多少は持った方がいい。だが、それで現実がうまく回っていないのなら現実を見ることで気持ちが楽になることもある。
また、昔から「いい高校」「いい大学」というお勉強で結果を残してきた人間が、こうした悩みにはまりやすいのかもしれない。
社会に出る前に「努力すればテストで結果が出る」という「努力は必ず報われる」という”成功体験”があだになっていることが多い(俺がそうだった)
学校のお勉強と、社会はまったくの別物だ。
「がんばることに対する過剰な見返り」を、今すぐ捨て去ることをオススメする。
3.仕事外にクリエイティブを求める
仕事の中で満たされないものを、仕事の外に求めるのも一つだ。
「まじめにやったら報われる」ことを、趣味として持てばいいのだ。
もちろん人によって趣味嗜好は違うが、「頑張れば達成感や評価を得られるもの」はたくさんある。
●”資格”の勉強をする
●マラソンをする
●作品造りに没頭する(ハンドメイド、webデザイン)
ここに挙げたのはほんの一例だが、少なくとも「自分ひとりで作業できる」「かけた時間に成果が比例する」ものばかりだ。
休みの日にこうした趣味を一つ見つけて、自分の「情熱」をぶつけるのも一つである。
番外編:独立する
俺はバカバカしくて独立した。言うまでもないが、これはオススメしない。
現に今、食うのにも困りそうな状況でもある。この辺りは別の機会に記したい。