ポリエステルの服って、どういう特徴があるの?扱い方をもっと知りたい!
洋服の多くに使われている、ポリエステルの素材。洗濯表示を見ても、よく見かけるのではないでしょうか。
ポリエステルは、どんな特徴があって、保管するときや洗う時など、どんな点に注意すればよいのでしょうか?
服飾関係のお仕事につかれていた主婦の方に、くわしく伺ってみました!
1.ポリエステルとは、どんな素材?
ポリエステルは、私たちの日常で一番良く接している素材と言って過言ではありません。
例えば衣料品であれば、ツルリとしたシルクにも似た滑らかな質感、軽くて丈夫しわになりにくい着心地と、衣料・インテリア関係で使われる素材には、100%でなくても多く含まれているような素材です。
ポリエルテルは、石油を原料に作られた合成繊維です。
現在、限られた資源である天然繊維に比べて、市場に大きく出回り、衣類の半数近くがポリエステル繊維とも言われるほどポピュラーな素材となっています。
2.ポリエステル素材の服の長所と短所
長所
摩擦や湿度に対する耐性を持ち、熱にも比較的強い繊維です。
しわになりにくく回復も早いため、アイロンがけはほとんどの場合必要になりません。
日光にも強いため、プリントの色褪せも他の繊維に比べると殆どありません。
プリーツ加工などの折目も洗濯後に残り、洗濯縮みもなく、石油原料であるため、虫害もありません。
本来吸湿・吸水機能はないものの繊維形状で速汗機能を持たせ、他の繊維との組み合わせにより機能的な素材として開発が進んでいます。
耐薬品性(特に酸に対する)があるため、薬品を使う現場で使用する衣類に向いています。
短所
耐熱や耐火性がないため、火の粉が散るような火を扱う作業場では、ポリエステル繊維が容易に溶けてしまう危険性があり、ユニフォーム等には向いてません。
また、汚れを吸い取る性質から「逆汚染」と呼ばれる現象が起きるため、白いポリエステル製品と他の汚れ物は一緒には置けません。静電気や毛玉ができやすいという欠点もあります。
3.ポリエステルは、どんなものに使われる?
ポリエステルは、幅広い商品で使われている万能素材です。
・一般的な衣料品、さらりとした質感が求められる下着やワンピース類。
・しわになりにくく丈夫さを求められるボトムスやアウター
・速汗が必要となる機能ウェアであるスポーツウェアやアウトドアウェア
・バッグや服飾小物類の素材、カーテンやテーブルクロス、布団などのインテリア素材
・合成皮革等の素材
合成繊維や生地としてのイメージが強いポリエステルですが、極めて凡用性が高く、身に周りのあらゆる素材となっております。
自動車のタイヤの補強素材、医療用として、縫合後抜糸をする内糸としても使用されています。3Dプリンターの材料の一つでもあります。
5.洗濯するときの注意点
衣料品などにつけることが義務付けられている洗濯表示は、自宅で洗う際の重要な目安となります。
ポリエステル100%や混紡率の高い製品では、ほとんどの場合手洗いを必要としません。
繊細な生地やデザインの物に関しては、ネットに入れて崩れを防ぐ必要があります。
ポリエステルの数少ない欠点として汚れを吸着しやすい性質から、逆汚染というものがあります。
白いポリエステル製品と一緒に汚れの強い物や濃い色の衣類を一緒に置いたり洗濯すると、汚れや色が付着してしまい取れにくくなってしまいます。このため、あらかじめ分けて洗う必要があります。
また、襟足などにも汚れや染毛料が付着しやすいため、あらかじめ「部分洗い」が必要となることがあります。
6.ポリエステルの服の収納で、注意すべきこと
しわになりにくいポリエステルですが、その一方で化学繊維であるその特質から、プレスするとその折り目が固定されてしまうという特徴があります。
畳んだポリエステル衣料品、服飾小物類を収納する際に下の方、上からの重みが長時間かかるような重ね方をすると、いざ着用としようとした際にシワが強固についてしまう原因となってしまいます。
折しわは洗濯やアイロンがけでいずれは取れますが、見苦しいしわが付かないよう布に畳んで、上段に置くように収納しておくと後が楽です。
特に夏場に着たポリエステル素材は臭いが付着していることが多いため、しまう前には濃度の高い洗剤液につけ置き洗いするなど、臭いがこもらないような注意も必要です。
7.その他
ポリエステルの新素材として最近注目されているのが、3Mで研究・開発された「シンサレート」という、高機能中綿素材です。
マイクロファイバーの細かい繊維が絡み合う複雑な構造を持ち、暖熱・保温性に優れており、羽毛製品より暖かいとして紹介されるようになっています。
すでにアウトドアやウィンタースポーツウェア、布団などにも使用され身近な存在となっています。
軽くて比較的安価、お手入れも楽な素材ですが、一つだけ欠点があり、放温性のないことです。どんどん暖かくなってしまう、嬉しくて大変な素材で、使用には場面や工夫が必要となります。