わたしは独身なのですが、妹には3才の子供がいます。男の子で、とにかく声が大きくてかわいい。
こども大好きなわたしにとっては、常になでなでごろごろしてあげたいのですが、あまりなつかない。会ってから30分くらいは「おじちゃんタイム」として、寄り添ってくるのだが・・
1時間もたつと、ばあちゃんになつく。ipadやスマホのゲームをずっと眺めている。「あそぼー」と横からのぞき込むと、正面からグーパンチをもらってしまう。肉体的なダメージはないが、心を打ち砕くには十分な破壊力である。
甥っ子にもっともっと、ほっともっと、なついてもらいたい。人間的魅力に限界を感じたわたしは、甥っ子のためにプレゼントを買うという姑息な手段にでるのであった。お金はないが、かわいい甥っ子のためなら消費者金融にも駆け込む覚悟はできている。
これから紹介するのは、どんなプレゼントが3歳の子のハートを射止めたのかを紹介する、壮大な実験結果である。
1.お菓子やカード類をこまめに買う
大好きなニンニンジャーのカードを、セブンなどのコンビニやスーパーで買ってきてあげる。2才の時は妖怪ウオッチ、その前は手裏剣ジャー。おじさん対応するのに疲れるよ。
「うわー」といって、受け取ってくれる。表情はあまり変わらず中身をあけて「これ、これ」と言う。そっかそっか、喜んでくれたか。まもなく、お母さんの呼ぶ声に反応する甥っ子。
そのままカードを床に投げ捨て、母のもとにむかう息子。わずかにくしゃっと折り目のついたカードが、もの悲しい・・「俺は、この程度の金額で心を開くような、安い男じゃねえよ!」って訴えたいのか、ぼくちゃん・・。
チョコが好きなので、キャラもののチョコレート菓子を買う。アンパンマンか妖怪ウォッチかな。カードより食いつきはよいが、いかんせん食べ終わったらお店を出ていなくなる飲食店の客よりタチが悪い。
せいぜい3分程度の「おじちゃんタイム」をゲットしたにすぎないのであった。
2.大きめのおもちゃを買ってみる
「にんにんじゃあのけん」ということを口酸っぱく言っていた甥っ子。翻訳すると「ニンニンジャーの剣」ということであった。なるほど、本人の口から直接欲しいものを聞けたというのはこれ以上ないヒントだ。
さっそく、近所の複合施設にいってみる。売り切れ。家電量販店に行ってみる。おもちゃコーナー撤廃。やはり地方都市で玩具を買うのは大変なのか・・ネットもあるしなと思った。
とりあえず、なさそうだなーと思った小さめの家電量販店にいったところ、奇跡的に1つあった。ものすごい勢いで箱をつかみ、レジにむかい、会計を済ませる。心拍数はこの時、200を超えていたかもしれない。
そして、甥っ子が遊びに来ている実家に向かう。じゃじゃーんという、昭和風の安っぽい効果音をつけながら、おもちゃを見せる。
甥っ子の顔は輝いた。「うわーうわー」をひたすら繰り返す甥っ子。甥っ子よりも妹のほうがびっくりしていたかもしれない。誕生日でもないのに、わざわざ買ってきたの・・と。
体をなんども上下させながら、箱を開けてあげる。剣を出す。やはり夢中のようだ。別売りの電池をセットして、さっそく甥っ子に渡す。
「うおーーーー」といいながら、台所にいるばあちゃんの元へ。
やめてーと楽しそうに聞こえる祖母と孫の会話。わたしは無言のまま、空になったおもちゃの箱の段ボールを、資源ごみに出す準備をしていた。
3.妹が喜ぶものを買う
ちょっと視点をかえて、まだこのくらいの子供にとって、母親の存在(私の妹ね)は絶対のはず。妹受けするものを買って喜ばせれば、「このおじちゃんはママを喜ばせた」と子供からの株が上がるのではないかと考えた。
妹目線で考えると、おもちゃは正直たくさんあるし、どうせすぐ飽きるので好ましくないようだ。ならば、自分では買わないけど、あったら嬉しいものというプレゼントの原則にかえって、考えてみた。
いろいろググッて調べてみると、「幼児向けのバスタオル」を見つけた。キャラクターになっていて、とってもかわいい。日用品で必ずつかうものだし、わざわざ子供のためにバスタオルなんて買うという発想もないだろう。
実際にプレゼントしてみた。わたしの予想は的中した。これはいい!と妹は絶賛してくれた。当然ながら、その様子を近くで見ている甥っ子。さてどんな反応をするのやら・・と思ったその時であった。
な、な、なんとわたしの目を見て、「おじちゃん、あ・り・が・と・う(ぺこり)」としてくれたではないか。これには正直うるっときてしまった。ママを喜ばせた作戦は、大成功に終わったのである。
5分もすれば終了する「おじちゃんタイム」は相変わらずであったが、問題はなついてくれる時間ではなくて、甥っ子のかわいい反応だということに気付いた。ありがとう、甥っ子よ。元気を与えてくれて。
でも、やっぱりゆっくり遊びたい・・