家族葬にするべきか迷っているあなたへ|本当のメリット・デメリット

本人からの希望で「葬儀はできるだけシンプルに」「身内だけで見送ってほしい」と言われて家族葬を考えている。

でも、本当に「家族葬」でいいんだろうか・・?どことなく不安で、ためらっていたりしませんか?

もちろん亡くなられる方の意思を尊重するのは大事なことかもしれません。

でも、周りの親戚だったり、本人の友人知人のことだったり、考えなければならないことはあります。

「家族葬」って、そもそもどういうもの?
本当に本人の希望とおり行って、よいものだろうか?

「家族葬」にどこか引っかかっている方の、参考になれば幸いです。

家族葬と他のお葬式との違いは?

家族や親せきなど、ごく一部の人で行うのは「家族葬」。ここまではみなさんご存知だと思います。

おそらく葬式といっても、一般葬と家族葬くらいしか違いがわからない方も、多いのではないでしょうか。お葬式にはいろいろな種類があります、整理しておきましょう。

「火葬式」との違い

もっともシンプルなお葬式なのが「火葬式」です。

通常はお通夜や告別式の後に、遺体を焼く「火葬」を行いますが、最後のみを執り行うものです。

式を行わず、当日ですべて行います。葬儀費用はもっともかかりません。

「一日葬」との違い

亡くなった翌日に行う「通夜」を省いて、告別式と火葬を一日で行うのが「一日葬」です。

お通夜をしないので、一般の参列者は招きません。「家族葬」をさらにシンプルにしたものです。

「一般葬」との違い

家族葬との違いは、「家族や親戚以外を招くかどうか」にあります。

式自体はまったく同じです。通夜・告別式そして火葬を行います。

家族葬は「故人の友人知人」「喪主の会社関係の人」などは一切呼びません。「どこまでを呼ぶのか」の違いなのです。

「密葬」との違い

密葬というと、身内だけで行う「家族葬」の一種というイメージを持たれるかもしれません。

ですが実際は、逆に故人が有名な方の場合に、「先に身内だけで」執り行う式のことを指します。

先に葬儀を行い、後から広く一般の参列者を招いて「本葬」を行うというものです。家族葬とはまったく異なりますので注意しましょう。

家族葬にする人の割合と、その目的

家族葬を選ぶ人は、全体の6割

他の人は、どれくらいの割合で「家族葬」にしているのでしょうか?

エンディング・データバンクの調査によると、家族葬を行っているのは「全体の6割」という結果になりました。

●家族葬「59.1%」
●火葬式「20.6%」
●一般葬「17.1%」
●その他

家族葬の目的の1位は「故人の想いを優先」するため

どうして、家族葬にするのか?という点でも、興味深い調査結果があります。

40代から60代を対象にしたアンケート調査で、葬儀において重要だと思うことを尋ねたところ

1位(65.7%)「故人や家族の想いを表現すること」
2位(63.1%)「会葬者への対応」
3位(60.6%)「費用」

という結果になりました。

株式会社メモリアルアートの大野屋「葬儀に関するアンケート調査」より

葬儀費用を抑えたいから家族葬、という家庭も根強い中、「故人の想い」を優先させて家族葬をひらいてあげる人が多いという結果なのです。

家族葬にするメリット

では実際に、家族葬にすることで具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。

手間・負担が軽くなる

通夜や告別式を身内だけで行うので、一般葬よりも遺族側にかかる準備は軽くなります。

通夜・告別式の受付対応、人数分の会葬のお礼、会場準備など考えるべきことが減るので、故人との別れの時間をゆっくり過ごすことができます。

気心の知れた方のみで行うことができるので、ただでさえ遺族がなくなってショックを受けているのに、余計な気を使わないで済むいう点でも望まれる式なのです。

葬儀費用”そのもの”は安くなる

一般葬に比べると、葬儀費用そのものは安くなります。一般葬の相場が120~130万円ですが、家族葬にすると40~50万とおよそ3分の1の費用負担になるのです。

斎場や祭壇などにかけるお金が安くなるのが、主な理由です。

家族葬にするデメリット

トータルで考えると家族葬は割高

家族葬=安いという理由だけで決断すると、損をする可能性があります。

なぜなら、葬儀費用そのものは安く抑えられても、「香典」で埋めることができないからです。

参列者が5000円の香典を包んで来られたら、500円~1000円の会葬御礼品を渡しますが、お金は確実に残ります。

どれくらいの人数が集まるかにもよりますが、一般の参列者がある程度見込める場合は、一般葬の方が最後に残るお金としては多くなる傾向にあります。

単に「お金の問題」で家族葬を選ぶ方は、慎重に考えましょう。

故人との親交の深かった人の心象が悪くなる

家族葬の場合は、近親者のみを呼ぶことになります。

故人の友人や知人は葬儀に出席することはできないため、故人との別れをしのぶ場が用意されないのです。

葬儀がおわった後に、近しい方に挨拶状を出して理解してもらう・・というのが一般的ではありますが。

故人が簡素な式でよいといっても、周りの人の想いもあるので難しいところです。あとは、親戚の方も家族葬で納得できるかという意見調整も難しい所ではあります。

そういった点も踏まえて、家族葬にするべきかは慎重に検討すべきでしょう。

寂しさを感じることも

身内だけでの参列になるので、どうしても小規模の葬儀になってしまいます。

ご本人が希望されている場合はそれでも良いですが、親戚が少ない場合などはどうしてもさびしい、ひっそりとした式になってしまいます。