年金は将来なくなるからもらえない?若い世代には払い損?

毎月、給料から年金が天引きされるけど、年金って意味あるんだろうか?

会社員であれば、強制的に支払われてしまう年金。

少子高齢化、年金の記録紛失、入力ミスによる過小納付など、年金が不安になるニュースを目にした方も多いと思います。

そんなに長生きしたくない。でもいざ長生きしてお金がなくなったら困るかもな。というのが私の個人的な感想です。

「どうせ年金を払っても意味ないし、老後のお金は貯めないとダメ?」

将来お年寄りになった時、生活費がなくなるのは怖いですよね。「年金任せで大丈夫なのか?」という疑問に対し、いろいろと調べてみました。

会社員の年金ってそもそも、どういう仕組み?

年金は「若い人が、65歳以上の高齢者のために支払う積立金」です。

将来年金が支払われるので、自分で「積立」していると錯覚しがちですが、そもそも自分のために払っているわけではありません。

●国が若い人からお金を預かって、「年金」という”一つのお財布”にすべて入れておく。

●”一つのお財布”の中から、65歳以上の人に毎月お金を配っていく

という仕組みなのです。

「なんで赤の他人のために・・」とバカバカしくなる気持ちが起こるかもしれませんが、だからといって払わないと、自分が65才を超えた時に「年金をもらえる権利」がなくなってしまいます。

加入期間が短い人は、もらえる年金の額が少ない

いくら「人のため」とはいえども、きちんと払わない人には、当然減額されるか・もらえなくなる恐れがあります。

「若いあなたが今、お年寄りを助けてあげれば、あなたがお年寄りになった時に助けてあげるよ」という国の制度なのです。

正確に言うと積立ではなく、保険のようなものです。みんながお金を出し合って、該当する人にお金が払われるようにするというものなのです。

●保険→病気やケガをした、一部の人
●年金→65歳以上の人
という違いにすぎません。

保険ですと「ずっと対象にならない(ケガや病気をしない)」可能性もありますが、年金は「必ず対象になる」というちがいがあります。

国民年金と厚生年金の違いは?

「給与明細を見ても、国民年金の欄がどこにもない」。年金を一瞬払っていないのかと焦った経験は私にはあります。

ですが、会社勤めをしている以上、年金を払っていないことは「ありえない」のです。

●国民年金
●厚生年金

サラリーマンが支払う「厚生年金」には、「国民年金」が含まれています。自営業の人やフリーターの人は国民年金として支払います。会社員はダブルで支払っているのが今の制度です。

支払っている分が多いだけ、当然「将来もらえる年金額」というのは大きくなります。

会社員の年金は「二階建て」

年金=老齢基礎年金+老齢厚生年金 の合計になります。

●国民年金=老齢基礎年金
●厚生年金=老齢厚生年金
に該当します。

会社員は、国民年金と厚生年金の両方を払っているので、「老齢基礎」「老齢厚生」の2つをもらえることになります。

たしかに毎月の支払いは重いですが、年金をもらえる年になると「ありがたみ」がわかるようになるのです。

いくらくらいもらえるの?

保険料を40年収めた場合は、
●国民年金のみの場合:およそ6万6千円
●国民年金+厚生年金:およそ6万6千円+10万円=16万円

になるので、自営業の人に比べてかなり金銭的にはしっかりもらえるでしょう。

ただ、「本当に自分たちの年代にそれくらいもらえるの?」という疑問があるかもしれませんが・・

何年支払い続けたら、支給してもらえるの?

今までは「25年間」というのが条件でしたが、「10年以上」と条件が緩和されました。

もちろん、支払い期間が短い人ほど将来もらえる年金の額は少なくなります。

年金って、もらえなくなる可能性はある?

「今のまま少子高齢化が進めば、年金は将来的にもらえなくなる?」一番知りたいところではないでしょうか。

結論からいいますと、「年金破綻」する可能性は極めて低いといえます。その根拠を、いくつかお話します。

年金積立金の運用は安定している

年金の原資はわたしたちが払いますが、少子高齢化でも年金資金が枯渇しないように、一定のお金を「年金積立金」としてためているのです。

預かったお金を、運用機関(年金積立金管理運用独立行政法人)が管理し、国債や株などの運用を委託しているのです。

わたしたちが支払っているお金すべてを「運用」しているのではなく、あくまで一部です。

今後日本経済が悪くなっても、100年かけて「年金積立金」を使っていくようなプランで運用しているのです。

運用というと危ないイメージがあるかもしれませんが、「長期的にプラスになるような、低リスクの投資」を行っているので元手がなくなるというような投機的なことはしていません。

過去10年の運用成績は、年2.89%のプラスと安定した推移を示しています。

少子高齢化で年金の原資が少なくなることを見越して、きちんと国は考えて政策を実施しているのです。無駄に不安をあおるような報道を、うのみにしない方がよいでしょう。

参考:年金積立金管理運用独立行政法人より

払い損になるというのは本当?

残念ながら、現在支給を受けている高齢世代に比べると、30代40代の方が「もらえる年金の額は減少」すると言われています。

「言われています」とあいまいな表現をしたのは、年金の不足分を運用する「年金積立金」がどれほど運用実績をあげるかという点と、人口減少がどれくらいに実際になるのか、不確定な部分があるからです。

少子高齢化によって、年金を支払う人の割合が年々減少していきます。その分をおぎなうために「年金積立金」が作られているのですが・・今の世代を上回ることは考えにくいのです。

だからといって「年金でまったく生活できない」というレベルにまで落ちるわけではありません。

たとえば、今30歳の人の場合:
20歳から60歳までの40年間、会社員として支払い
国民年金分(老齢基礎年金):約6万円
厚生年金分(老齢厚生年金):約8万円
合計:14万円

配偶者がいた場合は、さらに国民年金部分が加算されます。

まったく生活できないレベルではないですが、少し心もとないレベルなのかもしれません・・。

「年金なんてばかばかしい」と思っていて払わないと、この14万円を放棄することになりますし、自営業の方ですとどう頑張っても苦しいということになります。

※ちなみに、自営業の方は会社員の「厚生年金」部分に該当する「国民年金基金」という積立制度があります。

年金のメリットは、将来お金をもらうだけではない

年金はそもそも「自分のための積み立て」ができるわけではありません。でも払わないと将来困ることになります。

ただ、年金を支払うメリットはそこだけではありません。

国民年金に加入するメリットは、老後のため以外にも

●障害基礎年金
●遺族基礎年金

といった「万が一」のときに、支給されるお金にもなるのです。

老後資金を守るために、今できることは?

国民年金は、会社員にとって「昔よりはうまみがないが、それでも加入しないと将来が厳しい」というものです。

会社員を続けている以上は、辞めたくても辞められないジレンマがありますが・・かけていることで「意味はある」のですし、破綻することは考えにくいので国に運用を任せましょう。

ただ、老後の資金を「年金頼み」にしておくのは厳しいかもしれません。

せめて、毎月5~10万、老後の生活費があれば万全だと思いませんか?思いがけないケガや病気の可能性もあります。

個人的におすすめしたいのは、自分で別に老後資金を積み立てておくことです。

「個人年金、国債、投資信託」など、いろいろな手段があります。

でも、積み立てておく余裕がない・・という方もいるかもしれません。

今入っている生命保険の見直しをして、「浮いた分」を投資資金に回してみませんか?

実は生命保険に昔から入っている人は、「余計なオプションがついていて割高」になっている可能性が非常に高いのです。

生命保険を見直すだけで、毎月の支払いを5000円~1万円安くすることは十分可能なのです。

浮いたお金をそのまま貯金するだけでもいいですし、さらに投資で運用益をあげるのも一つなのです。

年金に半分頼って、半分は自分で何とかするというのが「安定した老後」を過ごすのに欠かせないものになるかもしれません。