個人向け社債とはどういうもの?他の投資と比べてメリットは大きい?

個人でも買える社債があるって聞いたけど、低金利でも儲かるものなの??

お金はただ銀行に預けても、全く増えることが期待できない世の中。

「せめて、少しでも運用益がでるものを・・でも、損はしたくない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

国債とならんで、比較的手堅く運用できるといわれているが「個人向け社債」です。

ただ、実際のところどういう仕組みで、どれくらい利益がでるのかわからない・・と実態が見えにくいもの。

「社債の初心者」でもわかるように、一からその仕組み、投資すべきかについてお話していきたいと思います!

個人向け社債とは、どんな仕組み?

「そもそも社債って何?企業が投資する社債と、どう違うの?」

「社債」とは、企業が資金を集めるために発行する債券のことです。

●借入金→金融機関(銀行や信金など)からお金を借りる
●社債→一般の人や投資家から、お金を集める
●株式発行→出資者を募集して、増資する

という違いがあります。どちらも「会社の負債」なのですが、”どこから借りるか”によって異なります。

「普通に銀行から融資を受ければ、いいのでは?」と思うかもしれませんが、社債には社債のメリットがあるのです。

借り入れよりも「社債」を発行するメリット

「会社の都合に合わせた期間を借りることができ、毎月の返済に追われない」というメリットがあります。

銀行などから借り入れをしますと、信用状況などが判断され、借りたい期間を自由に設定しずらくなります。

利息がかかるのは借入でも社債でも同じなのですが、「長期的な事業運営のため」に借りる場合は、社債の方が柔軟性が高いのです。

「銀行が貸してくれないから、仕方なく一般公募する」というわけではありません。

また、貸し出すときは固定金利ですので、償還月にまとめて利息分とあわせて返せばいいので、毎月の返済計画をたてなくてもよいという企業側のメリットもあります。

個人向け社債の仕組み

●社債の発行を企業が「公募」する
●社債を購入する
●満期が来たら、利息と合わせて返してもらえる

というのが、大まかな流れです。

社債は常に募集しているわけではありません。企業側が「資金調達をしたい時期」ができたら行うもので、不定期に募集を行います。

企業のホームページやニュースリリース、証券会社のホームページなどで告知を行います。人気のものは、公募してからあっという間になくなります。「早い者勝ち」の世界です。

借り入れ期間は1~10年

社債は、企業側があらかじめ満期を定めています。標準的なのは5年ですが、1~3年、10年というのもあります。

償還期間(満期を迎えるまでの期間)までは、原則引き出すことができません。確実に使わない「貯蓄用資金」を投入するのがセオリーです。

投資金額は高め

最近では投資信託も株も「月数千円から」というところも出ているようですが、社債はまとまったお金が必要です。

ほとんどの企業では「10万」もしくは「100万」を『1口』としていて、その単位以下では購入できません。

例:10万が一口なら、70万分買うと「7口」になります。

購入した金額×1年あたりの利率×償還期間=もらえる金額 です。

当然、期間が長いほどもらえる金額は大きくなりますがリスクも大きくなります。

どれくらい安全なの?

当然ながら、企業が倒産すると「投資金額が全額戻ってこない」リスクがあります。

全額ゼロになる可能性もありますし、一部戻ってくるケースもありマチマチです。

その企業の仕入れ先からの債権、社債を購入した人の債権などの「優先順位」を破産後に打ち合わせて決められます。

安全性のチェックのため、格付けされている

個人向け社債であっても、「どの程度の投資リスクがあるのか」を格付けする機関があります。

AAA(トリプルエー)からCまで、財務状況や企業の取り組みから9段階に「信用度」を分けています。

ちなみに、BBB(トリプルビー)以上であれば、投資をしてもリスクが低いという判断になります。

~主な格付け機関~
●ムーディーズ
●スタンダード&プアーズ
●JCR(日本格付研究所)
●R&I(格付投資情報センター)

もともとは、機関投資家向けのもの

最近でこそ、「個人向け社債」が証券会社や銀行などで買えるようになりましたが、もともとは機関投資家向けに公募されたものが「社債」なのです。

~機関投資家とは?~

投資家というと個人のようなイメージがあるかもしれませんが、大口の投資を行い運用している企業を指します。

生命保険や投資信託、年金などの資金を預かり運用している人たちなのです。

社債には、2つの種類がある

●普通社債(一般的な社債)
● 新株予約権付社債(株に転換できる権利をもった社債)

の2つがあります。個人で購入する方はほとんどが「普通社債」です。

他の資産運用と、どう違う?

社債以外にも、資産を運用する方法はいくつかあります。

●定期預金
●個人年金
●国債
●投資信託

それぞれと比べることで、社債のメリットやデメリットがわかりやすくなるかもしれません。

運用期間 利率 金額
社債 中長期
※1~10年
0.1~2% 10万~
国債 中長期
※3~10年
0.03~0.05% 1万~
定期預金 短期
※1~5年
0.01~0.15% 1000円~
個人年金 長期 0.01~0.15% 月1万~
投資信託 中長期
長期
4~6%
※1
1万~

※1 インデックスファンドに長期投資した場合の、平均利回り。

この比較表を踏まえて、具体的なメリット、デメリットについてお話したいと思います。

社債のメリット・デメリット

社債のメリット

「リスクはそこまで高くない割に、リターンが大きい」という点があります。

ハイリスクな投資信託は、リスクが高い分だけリターンも大きいです。社債は投資信託に次ぐ平均利回りのよさを記録しています。

もちろん企業の倒産リスクがありますが、格付けの情報をしっかり判断することでリスクはある程度回避できます。

社債のデメリット

まとまった資金が必要

最低10万からと、気軽に始めるには少しハードルが高いかもしれません。ある程度の資金が必要になってきます。

「貯蓄預金に眠っている、まとまったお金」があれば投資してみるとよいのではないでしょうか。

お金を動かせない

急な出費が続いた場合でも、1円も引き出せないというデメリットがあります。

途中で辞める場合「解約」扱いになりますし、利息はもちろん「解約手数料」もかかってきますので元本を割り込んでしまうことになります。

ただ、途中で辞めていいものは他の金融商品でも一緒ですが・・

なかなか買えない

国債や投資信託などと違って、「買いたくても買えない」という現象がおこります。

利回りはあらかじめ企業側から発表されますが、利回りがよいものほど応募が殺到し、抽選ということになります。

資金を用意する以外にも、購入するときにも一苦労するのが社債の難しいところです。あとは、不定期ですのでこちらのペースで運用できないというのも悩ましいところかもしれません。

いくつかデメリットはありますが、それでも社債は「(比較的)低リスク・高リターン」というメリットがありますので、投資する価値はあるでしょう。

利率が高い社債はどう探す?おすすめは?

「利回りがいい企業は、どこで探せばいい?」と思うかもしれません。

実は利回りがよい「お買い得」の企業は2つあります。基本は、この2社の公募がないかをチェックしつつ、なければ他の会社の情報収集するのをおすすめします。

ソフトバンク

あの携帯最大手のソフトバンクです。7年と期間はやや長いですが、最近は2.13%の社債の募集を行っていました。

買う前は複数の格付け期間のチェックが必須ですが、それでも1%を超える利回りがあるのは魅力的です。

仮に100万円で2%の利回りだとすると、

100万×2%×7年 = 114万円 と+14万円になります。

銀行に預けていても「あってないような利息」ですので、ソフトバンクの高利回りは社債の目玉といってもいいかもしれません。こまめに情報をチェックしましょう。

SBIホールディングス

ソフトバンクには及びませんが、個人向け社債の中ではかなりの高利率です。

定期的に発行する傾向があり、「待っていればチャンスは高い」のも魅力的です。

●社債の償還期間が短め:1~2年
●利率:0.5~0.75%

購入前に最新の格付け情報をチェックする必要がありますが、ソフトバンクに並んで「二大人気社債」ですので、社債を考えている方は検討してみるとよいでしょう。

その他の銘柄は、どこで探せばいい?

SB(ソフトバンク)とSBIは、企業のホームページをマメにチェックしてみましょう。

それ以外の社債の場合、どこでこまめにチェックするのがよいのでしょうか?

●証券会社(大和証券・野村証券など)
●日本証券業協会のホームページ
●エディネットで有価証券届出書を見る

といった3本柱で、週に1度などチェックするタイミングを決めて、まとめてざっと見るのがおすすめです。

資産を「確実に」増やしたいなら、こんな方法も

保険の見直しをするというのも一つです。今入っている保険の支払いを減らせれば、その分社債などの投資に回すこともできますし、純粋に貯蓄することもできます。